向かい風も吹きつつある

BRICsは今後も、世界の大市場として大いに発達してゆくことでしょう。しかしそんなBRICsの各国にも、それぞれ課題となる問題が存在しています。それらが向かい風となっているのが現状で、今後さらなる発展を望むには解決しなければならない大問題となっています。
たとえば中国の高齢化問題、環境破壊問題です。一人っ子政策のあおりを受けた中国の高齢化問題は、日本のそれよりもはるかに深刻です。今後、高齢者の介護、医療問題が確実に浮上してきます。加えて光化学スモッグ、温暖化、砂漠化などの環境破壊も進んでおり、北京に至っては40キロメートルにまで砂漠が接近してきています。黄砂や大気汚染などは隣国である日本はもちろん、アメリカにまで押し寄せており、漁業被害やクラゲの増加など、国際問題となっています。
このように、BRICsは各国単位で大きな問題を抱えている状況ですが、すべての国に共通して言える大問題があります。それが貧富の格差です。大国だけに難しい問題ですが、BRICsの国々が真の先進国となるには、この格差をどうにかしなければならないでしょう。

次点はインド

現在、世界経済で台風の目となっているのは間違いなく中国でしょう。もともと大国です。人口も国土も大国の名に相応しく、経済や生活水準のみがそれに見合っていない状況でしたが、近年はそれも大国に相応しいものとなってきました。
しかし台風の目は中国だけではありません。中国と同じくBRICsの一国に数えられているインドも、驚愕のスピードで経済発展しています。
インド経済の特徴として挙げられるのは、経済成長の展望が非常に長いことです。インドの人口は、2060年ごろまで増加し続けると言われています。2028年には14億5000万人に達し、中国を抜いて世界一の人口大国となるのです。そして2030年ごろ、中国経済はピークを迎えるといわれていますが、インドはその後も成長を続けるとされています。そしてBRICsの経済規模がG6の1.5倍に達するとされる2050年には、インドは世界一の経済大国となっている、と予測されているのです。
つまり、現在「中国」という巨大台風が通過中ですが、その次はさらに巨大な「インド」という台風がやってくるのです。

第二の分岐点は2050年

BRICsにとってまず大きなターニングポイントとなるのが2039年と言われています。この年にG6の経済規模を上回ると予測されているからです。そして次のターニングポイントとなると言われているのが、2050年です。この年にBRICsの経済規模はG6の1.5倍に達すると言われているのです。もちろんあくまでも経済規模の話ではあるのですが。
しかしこれは、ある意味で当たり前のことであるともいえます。BRICsの各国はいずれも大国です。地球上でBRICsが占める国土面積は32パーセント、人口はなんと45パーセントにもなります。
つまり、現状が異常なのです。G6の国々の中で国土面積、人口共に大国と呼べるのはアメリカのみでしょう。他の国々は皆、小さな国土面積とそれに見合った人口です。日本だって人口密度こそ高いものの、東洋の小さな島国であることには変わりません。とても大国とは言えないでしょう。
BRICsの経済規模が拡大するということは、人類の大きな進歩なのかもしれませんね。

5カ国目が増えるかも

BRICsには5か国目が増えるかもしれません。というよりも、実質的にはもうすでに増えています。南アフリカ共和国です。すでにBRICsの首脳会議は「BRICS首脳会議」と正式名称を改めていますし、「BRICs」としていたのも最初から南アフリカ(South Africa)の参入も見込んでのことだったのではないでしょうか?
南アフリカでは1994年に人種隔離政策(アパルトヘイト)が撤廃されました。それまで土地を所有することができなかった黒人たちが、住宅を購入できるようになったのです。2010年にはFIFAワールドカップも開催され、その際にインフラ整備も急ピッチで進められたのです。このワールドカップの経済効果は4700億円にもなると言われています。
もともと金やプラチナ、レアメタルなどの産出国ですので、経済の基盤はしっかりしているのが南アフリカですが、まだまだ先進国とは言い難い状況ではあります。今後は貧富の格差、著しく悪い治安などの問題点を解消することが課題となるでしょう。

BRICsの現状

BRICsの現状を一言で表すと、「成長著しい」という言葉につきるでしょう。とにかくものすごいスピードで経済発展を遂げており、BRICsのGDP、貿易額は世界においてもかなりの割合を占めるようになってきています。中国やインドなど、一国をとっても世界経済に多大なる影響を与えていますので、BRICsとして考えれば、今や世界経済の主役ともいえるかもしれませんね。
しかし一言でBRICsといっても、それぞれの国の経済状況はまったく異なるものとなっています。
ブラジル経済の成長は、貿易が重要なカギとなるといわれています。近年になってブラジルの貿易依存度は急激に高まっており、とくに輸出はその拡大が顕著です。
かつて金融市場の混乱を経験したロシア経済は近年実質的な成長率が6年間連続で前年比プラスとなっていたりと、回復傾向となっています。一方でエネルギー資源に依存している経済構造となっていることも事実ですので、今後大きな課題となるでしょう。
インドは1991年以降に取り組んだ経済改革によって2003年以降は年間7パーセントを超える経済成長を達成しています。とくに第一次産業は世界でも第2位の規模となっており、12億人もの人口を抱えながらも自給自足国家となっています。これが経済の基盤となっており、さらに情報通信技術の成長がそれに拍車をかけているのです。
そして中国経済は、なんといっても外国からの直接投資と貿易でしょう。現在の中国は日本を超えて世界最大の外貨保有国となっています。2002年以降は新たな高度経済成長期に突入し、生活水準も飛躍的に向上しています。

2039年がターニングポイント

BRICsの急速な経済発展には目を見張るものがあります。ゴールドマン・サックス経済調査部が2003年に発表したレポートによると、2039年にはBRICsが先進国を上回る経済規模になると推測されています。ここでいう先進国とは、G6のことです。つまり、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、そして日本という名だたる先進国の経済規模を、ロシア、中国、ブラジル、インドの4ヶ国が上回るということなのです。
すでに日本企業にとって、隣国である中国の巨大市場は決して無視できない存在ですよね。しかも今後も継続的に成長が見込める巨大市場です。すでに政府規制などの壁を乗り越え、参入を果たしている企業も数多く存在しています。
数年前までは大きな壁であった通信インフラの未熟さも最善されてきており、共産党に疑念を抱く若者も増えてきていますので、これから中国は真の先進国へと生まれ変わることでしょう。もちろん、これは私の個人的な推測、希望的観測ですが。
経済規模が拡大すれば、当然個人所得が上昇します。個人所得が上昇すれば、購買力が伸びますよね?BRICs各国は生活水準も所得も格差が激しいので、現在の先進国とは市場の拡大も少し異なる形になる可能性はあります。しかしBRICsの各国はもともと人口も多く国土も巨大な国々です。このまま先進国を上回る人口増加を続けた場合には、途方もない巨大市場が形成されることになるでしょう。

BRICsって何?

“BRICsについて語る前に、「そもそもBRICsとはなんぞや?」と思う人も多いと思いますので、BRICsの概要について解説します。
BRICs(ブリックス)とは、2000年代に入って以来、著しい経済発展を遂げている4ヶ国の総称です。ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4ヶ国の頭文字を組み合わせ、BRICs(ブリックス)となっています。ゴールドマン・サックス銀行のエコノミスト「ジム・オニール」氏によって書かれたBuilding Better Global Economic BRICs』という投資家向けレポートに登場したのがBRICsという言葉の始まりで、以来世界中に広がりました。これが2001年11月30日のことです。
2009年の6月16日には、エカテリンブルク(ロシア)においてBRICs初の首脳会議が開催されました。2011年4月13日には北京(中国)でも首脳会議が行われ、このとき南アフリカも初参加を果たしたのです。以来首脳会議は正式名称を「BRICS首脳会議」と改め、BRICsに5か国目の南アフリカを加えた5ヶ国を「BRICS」と呼ぶようになったのです。
ブラジルのフォルタレザで開催された第5回BRICSサミットの初日には(2014年7月15日)、1000億ドルの資本金を持つ新開発銀行の設立、1000億ドルの外貨準備基金のを設立を記しました。”